通称「赤富士」。凱風とは南風のことで、夏の早朝、もともと赤みを帯びた富士の山肌が、朝日を受けて赤く輝く現象が起こる。その赤く染まる一瞬の様子が、簡潔な構図と色彩で伸びやかに描かれている。ぼかしの効果と群雲や残雪のアクセントによって豊かな色合いと壮大さが感じられる。
※赤富士
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江戸時代、文人の間では箱根あたりで見る「紅玉芙蓉」が話題になっていた。これは覆った雪が朝日をうけて紅に輝く冬の富士のこと。季節を問わず富士は夕日でも赤くなるのだが、空気も澄んだ朝の輝きの方が印象的なのだろう。
夏の「赤富士」は、カメラマンの間で、富士山の北から北東にかけての山梨側が撮影ポイントとされる。
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