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博物館資料のなかの『富士山』
葛飾北斎 冨嶽三十六景
8:甲州犬目峠(こうしゅういぬめとうげ)
新緑のなだらかな甲州道中の峠道を旅人や馬子が登っていく。摺り残して表現した雲は坂道と富士の間に距離を作り出し、眼下に渓谷があることをうかがわせる。鋭角の富士と峠の斜め線による簡潔な構図によって、明るくのどかな景色が広がっている。 犬目峠(山梨県上野原市) …犬目宿は野田尻宿(上野原市)と下鳥沢宿(大月市)との間にある甲州道中の宿場であった。本図は犬目峠から富士を望む。犬目宿から桂川沿いの下鳥沢宿へと下る途中の峠の様子を描いたと考えられる。