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博物館資料のなかの『富士山』
葛飾北斎 冨嶽三十六景
11:武陽佃島(ぶようつくだじま)
穏やかな海に、石川島と佃島が浮かび、様々な角度から見た舟が散らばっている。人を乗せたり、荷物を運んだり、釣りをしたり、舟の役割の多様性が示されているが、舟が起こす小さな波しぶき以外は、鏡のように静かな海である。帆を降ろした舟の帆柱が水平線の彼方まで林立する様が、さらに静的な画面を作り出している。本図は寒空を主体としているが、初摺は藍の濃淡だけの「藍摺」で、一層静謐な印象である。