富士川の下流と対岸の山々を俯瞰でとらえている。神が鎮座するような左右対称の神奈備（かんなび）形の小山、秀麗な富士の頂、霞が立ちこめる松林、詩情豊かな一枚である。
※富士川（静岡県富士市、富士宮市、富士川町）
…釜無川と笛吹川が甲府盆地で合流して、甲斐国南部の河内地域を南流し駿河湾に注ぐ富士川は、鰍沢（山梨県鰍沢町）と岩淵（富士川町）を結ぶ水運や両岸を往来する渡船で賑わった。渡船が川を往来している様子や川沿いに山がある地形から、東海道の渡船場であった岩本村・松岡村（富士市）付近を対岸の木島村（富士川町）付近から見た風景と考えられる。東海道の富士川の渡船は、岩本村・松岡村と岩淵村（木島村の南）との間を往来していた。
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