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博物館資料のなかの『富士山』
歌川広重 不二三十六景
11:大江戸市中七夕祭(おおえどしちゅうたなばたまつり)
地平線まで埋め尽くすかのように広がる甍(いらか)の波、その家々の物干台から無数の七夕飾りが掲げられている。7月7日の夕刻、富士は闇に沈み始め、夕風を受けて竹がみな左にしなり、吹き流しや短冊がなびいている。物干台に上がって見渡している人の姿もある。北斎の『冨嶽百景』の中の「七夕の不二」の趣向を取り入れているものの、画中の人物の視線を借りて自然な情景を見せ、見る者に叙情性を感じさせる広重らしい一枚となっている。