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歌川広重 冨士三十六景
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13:武蔵多満川(むさしたまがわ)
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多摩川は右手下方から大きく蛇行し、画面右手上部へと流れていく。手前に青々とした柳と架け橋、奥には名物の鮎釣をする人影や集落の家並みが見える。縦長の画面に巧みに構成して、のどかで広々とした河川敷の景観を描き写しており、川の流れていく先へと見るものの視線を誘う。紫雲をまとった富士がこの穏やかな情景を静かに見守っている。
※多摩川(東京都日野市)
…多摩川は秩父山地に源流を持ち、多摩丘陵と武蔵野台地との間を流れて江戸湾(東京湾)を渡河する日野の渡の左岸から富士を望む。日野の渡は渡船であったが、渇水期には土橋を架橋したという。 |
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