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歌川広重 冨士三十六景
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19:相模七里か濱(さがみしちりがはま)
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弧を描いて続く七里ヶ浜の向こうに、江の島と富士を望む本図は、富士の名所である七里ヶ浜を描くときの典型的な構図をとっている。小さく描かれた旅人や駕籠が、七里ヶ浜の長さを強調する。手前では旅人が子どもに小遣いをせがまれている。茶屋で一休みする揃いの着物の女性たちは、次の「相模江之島入口」同様、芸能の上達を志しての江の島参詣の途中であろう。
広重は嘉永4年(1851)頃に三浦半島、箱根を旅した際に、スケッチを遺している。これらには江の島、七里ヶ浜周辺を描いたものが多く含まれるが、本図は「七里か濱出口の茶や」というスケッチそのままの景色である。
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