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歌川広重 冨士三十六景
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36:房州保田ノ海岸(ぼうしゅうほたのかいがん)
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逆巻く荒波を間近に見ながら、海沿いの道を崖下まで辿っていく。層状の岩肌には洋風画の影響も感じられる。執拗なまでの岩皴と波の克明な描写に対し、沖には紫雲たなびく穏やかな情景が広がっている。『富士見百図』に収められた「安房保田海岸」では、盛り上がった波が岩にあたって砕ける様子を前景にして、正面に富士を見る構図をとっている。
※保田(千葉県鋸南町)
…浦賀水道に臨む保田湊は、幕府の年貢米を津出しする安房国の拠点であり、漁業も盛んであった。本図は、保田湊がある本郷村と北隣の元名村付近の海岸から富士を望む。右端の岬は、鋸山の麓にある明鐘岬。 |
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