必要の事は何時か必ず実現する。必要は不可能のことすら可能に変へて行く。
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平成29年(2017)は、昭和2年(1927)12月30日に日本最初の地下鉄である東京地下鉄道上野・浅草間(現在の東京メトロ銀座線)が開業してから90周年を迎えます。さまざまな困難を乗り越えて、不可能とも言われたこの偉業を実現したのは、山梨出身の早川徳次です。本展では、大都市の交通機関として無くてはならないものとなった地下鉄の創業へ挑んだ軌跡を紹介し、その近代交通史上の意義や、早川の先見性や情熱、人づくりに対する思いについてご紹介します。 |
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■期間
平成29年5月27日(土曜)〜6月26日(月曜)
(※終了しました。)
■時間
午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
■主催
山梨県立博物館
■協力
地下鉄博物館、早川徳次ふるさと後援会、笛吹市教育委員会
■観覧料
常設展観覧料でご観覧になれます。
■常設展観覧料
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通常料金 |
団体割引料金(20名以上)、
宿泊者割引 |
一般 |
510円 |
420円 |
大学生 |
210円 |
170円 |
※次の方は観覧料が免除となります。
・65歳以上の方
・小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の児童・生徒
・障害者基本法第2条に規定する障害者の方、及びその介護をされる方
※宿泊者割引は、県内のホテルや旅館等に当日か前日に宿泊される方を対象とした
割引料金です。
※無料、 割引料金の対象となる方はそれぞれ証明できるものをご提示ください。
※定期観覧券(年間パスポート)もどうぞご利用ください。
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■展示構成と主な展示資料 |
◆序章 日本の地下鉄のはじまり |
わが国の鉄道は、明治5年(1872)に新橋・横浜間が開業して以来、各地へと路線を延ばし続け、都市間の交通は、鉄道によって近代化(高速化・大容量化)していきました。一方で、東京をはじめとした都市内の交通は、市電(路面電車)の普及や自動車の登場もありましたが、いまだ馬車や人力車も数多く往来しており、とくに東京市内の交通は「交通地獄」とも言うべき渋滞と混雑、ダイヤの遅れといった混乱が日常茶飯事となり、その整理や整備が必要となりつつありました。
山梨出身の早川徳次は、ロンドンで目撃した地下鉄こそが、東京の交通地獄を救う切り札になると考え、東京地下鉄道を設立し幾多の困難を越えて、昭和2年(1927)に東京地下鉄道浅草・上野間(現在の東京メトロ銀座線)を実現させました。この地下鉄は「東洋唯一の地下鉄道」と宣伝され、わずか2.2kmの路線から出発した日本の地下鉄は、日本の都市において欠かせない交通手段として成長を遂げていくことになります。 |
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三越前駅のデパート巡り乗車券看板前で行われた映画撮影のワンシーン。 |
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◆1番線
ねざめよき事こそなさめ世の人のよしとあしとはいふにまかせて
―「地下鉄の父」誕生― |
早川徳次は、南満州鉄道や鉄道院の総裁を務めていた後藤新平や、郷里の先輩である東武鉄道の根津嘉一郎との出会いを経て、鉄道業界での現業から経営までを経験していきました。表題の「ねざめよき…」は、このころ早川が後藤から与えられた歌で、「世の人からの評判など気にせず、寝覚めのよい素晴らしい事を成し遂げなさい。」という意味となり、早川は尊敬する後藤からもらったこの歌が書かれた掛軸を大切にしたそうです。発言や計画のスケールの大きさから「大風呂敷」とも称された後藤らしい言葉でもあり、日本最初の地下鉄という大事業を成し遂げた早川の指針としてもふさわしい言葉と言えます。 |
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起工式での早川徳次。前社長の古市、現社長の野村に続いて、専務を務める早川が3番目に杭を打つ綱を引いた。早川は、この瞬間には「何とも云ひ知れぬ感が込み上げて来て、そゞろに嬉し涙が頬を伝はるのを禁じ得なかつた」と3年後の開業式に勝る「歓喜のクライマックス」であったと語っている。 |
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◆2番線
いまに東京の地下は蜘蛛の巣の様に地下鉄が縦横に走る時代が必ず来る
―「東洋唯一の地下鉄道」、出発進行― |
昭和2年(1927)12月30日、東京地下鉄道の浅草・上野間2.2km(現在の銀座線の一部)が開通しました(前日に開通披露式と記念乗車)。この地下鉄は、日本で最初の自動改札や駅直結の「地下鉄デパート」などさまざまな新機軸が盛り込まれ、早川が実現した地下鉄は、多くの人々の活動や生活にとってなくてはならないものとなっていきました。早川は身近な人に、「いまに東京の地下は蜘蛛の巣の様に地下鉄が縦横に走る時代が必ず来る。また、そうでなければならない。」と語ったとされています。早川が苦難の末に記した第一歩から、まさしく早川の予言通りに「蜘蛛の巣」のように地下鉄のネットワークが広がっていきました。 |
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昭和9年(1934)に延伸開通した銀座駅付近の様子。 |
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◆3番線
いかなる世にも仕事するには大切なるものは人である。一も人、二も人、三も人であると思う。
―「人づくり」の精神・聖智寮と幻の青年道場― |
「いかなる世にも仕事するには大切なるものは人である…」という言葉は、早川が東京地下鉄道の職員教育のために作成した『社員読本』のはしがきに記した言葉です。
早川は前述の地下鉄ストアの開業にあたり、そのオープン記念式典において、「二十世紀の現代に於ける営業の真髄は奉仕を基礎と致します。」と述べています。早川は将来の商売は利益を第一でなく、奉仕を第一としなければ競争にも勝てず、事業の発展も期待が出来ないとして、旧来の考え方に染まっていない新時代の従業員を育成するためには、未経験の純真な青年を養成することが必要だと考えていました。このような考えから、早川は逗子に研修施設「聖智寮」を作るなど、日本で最初の地下鉄を担う職員教育に力を注ぎました。この「人づくり」に臨む情熱は、郷土山梨にも「青年道場」を設立して人材育成を行おうとした姿勢にも表れていました。 |
社員読本
昭和時代 個人蔵 |
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名刺(社長早川徳次)
昭和15年(1940) 個人蔵 |
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五島慶太書簡(早川徳次宛て)
昭和14年(1939) 個人蔵 |
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東京地下鉄道解散記念品
(木村珪二 作)
昭和16年(1941) 個人蔵 |
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青年道場青焼き図面
昭和時代 個人蔵 |
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上野地下鉄ストアの厚生イベントでの専務賞杯記念写真(早川は中列やや左) |
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◆終章 日本の地下鉄の現在、そして未来へ |
早川が数々の困難を乗り越えて、浅草・上野間2.2kmの地下鉄を実現してから90年を経て、日本の地下鉄は東京だけでなく、大阪や名古屋をはじめとした大都市にも広がりました。早川が述べた「いまに東京の地下は蜘蛛の巣の様に地下鉄が縦横に走る時代が必ず来る。また、そうでなければならない。」という言葉は、まさに現実のものとなり、現代の私たちにとって欠かせない「必要の事」となっています。 |
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銀座駅に建つ「社長早川徳次像」 |
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■関連イベント |
ギャラリートーク
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担当学芸員が展示の見どころを解説します。
■日時
平成29年5月27日(土曜)、6月11日(日曜)、24日(土曜)
15時から(30分程度)
(※終了しました。)
■場所
シンボル展示室入口にお集まりください。
※申込不要、常設展観覧券が必要です。
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かいじあむ子ども工房
地下鉄のペーパークラフトを作ろう |
地下鉄のペーパークラフトを作ります。
■日時
平成29年6月10日(土曜)
10時30分から15時まで
(※終了しました。)
■場所
ロビー
※申込不要、参加無料(先着50名)。
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かいじあむ講座
「地下鉄の父・早川徳次の足跡」 |
■講師
小畑茂雄(当館学芸員)
■日時
平成29年6月11日(日曜)
13時30分から15時まで
(※終了しました。)
■会場
生涯学習室
※申込不要、聴講無料。
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かいじあむ古文書講座
鉄道に関する古文書を読む |
■日時
平成29年6月24日(土曜)
13時30分から15時まで
(※終了しました。)
■場所
生涯学習室
※ 事前申込が必要(県立博物館TEL.055-261-2631)、聴講無料。
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■本展リーフレット、ミュージアムショップで発売中 |
「地下鉄90年」展の解説パンフレットはミュージアムショップで好評販売中です。
シンボル展「地下鉄90年―早川徳次、東京の地下を拓く―」展 解説パンフレット
A4版、8頁、平成29年5月、
¥200(税込)
詳細情報
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