■展示内容と主な資料
(※なお、下記の資料は、特に記載がない場合は、バンダイミュージアム所蔵となります。) |
◇ ロンドンからの贈り物 〜鉄道模型からドールハウスまで〜
鉄道模型をはじめ、人形やドールハウス、精巧なブリキおもちゃなど、「ロンドンおもちゃ・模型博物館(The London Toy & Model Museum)」旧蔵の19世紀以降のアンティーク・トイのコレクションをご紹介します。実際の蒸気機関で走行することができる鉄道模型の機関車や、現在でも美しさを失わないドール、愛らしいテディベア、緻密なブリキおもちゃなど、魅力豊かなおもちゃの世界を味わうことができます。 |
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(1)旅への憧れ―鉄道模型の魅力 |
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産業革命以降、蒸気機関の誕生と、それにともなう鉄道網の急速な発達は、単に利便性をもたらしたにとどまらず、人々の空間意識や世界観をも大きく変容させた。鉄道模型は、こうしたテクノロジーの発展と、旅の記憶とを時代を超えて私たちに語りかけてきます。 |
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1 糸巻きはずみ車の機関車
1880年代 ドイツ製 メーカー不詳 金属
鉄道模型や玩具を語る上でも重要な資料。フライホイール(はずみ車)の珍しいフロアートレイン。 |
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2 HR鉄道608形 0-C-0テンダー蒸気機関車
1900年代 フランス製 メーカー不詳 ブリキ
テンダー(炭水車)蒸気機関車の模型。資料名の「0-C-0」は、機関車の「(先輪)-(動輪)-(従輪)」を示し、これは動輪3軸の機関車の模型であることが分かる。
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11 サザン鉄道2-B-0 900型 テンダー蒸気機関車「ETON(イートン)」
1910年 イギリス製 ホーンビィ 金属
Oゲージの機関車模型。当時人気のあったホーンビィ製品のNo.4シリーズの機関車。このシリーズの発展は戦争の勃発によって打ち切られてしまったという。 |
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17 ユニオン・パシフィック鉄道 X4002形2-D-D-2テンダー蒸気機関車
1967年 日本製 カツミ 金属
1番ゲージの機関車模型。精巧なつくりは、日本製品の水準の高さを示している。 |
このほか、1番ゲージを中心に数十両の鉄道模型が展示されます。 |
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(2)掌上(しょうじょう)の宇宙―人形・ドールハウス・鉛の兵隊 |
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現在みることができるような高度かつ多様な人形が生産されるようになったのは、19世紀以降のこととされています。こうして人間と見まごうほどの存在感を獲得した人形は、人間の似姿として、あるいは愛玩物として、従来以上に親しまれるようになっていきました。 |
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21 ビスク・ドール
1890年 フランス製 ジュモー ビスク・布
ジュモーは、ビスク・ドールの黄金期を創り上げた工房で、1842年頃から1899年まで多くの作品を生み出した。ビスク・ドールは高温で素焼きをした後に彩色し、低温でもう一度焼き上げたもので、人肌に近い感じが出せるのが特徴。 |
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28 ビスク・ドール
1890年 フランス製 ジュモー ビスク・布
上と同様ビスク・ドール。本展ではビスクのほか、「ろう」で作られたワックス・ドール、布製のクロス・ドール、おがくずや砂を固めて作られたコンポジション・ドール、新素材でつくられたセルロイド・ドールを展示します。
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29 戴冠式パレード
1950年代 イギリス製 ウィリアム・ブリテン
金属
イギリスにおいて、1953年(昭和28)、エリザベス2世の戴冠式が行われた際、英国中が盛り上がりを見せ、こうした玩具など、多くの記念グッズが製作された。スケールは32分の1。
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35 スケーティングベア
1915年 ドイツ製 ゲブリューダー・ビング
布・金属
第一次世界大戦前に実在したアメリカでローラースケートをしていたクマ「アリス・テディ」をもとにしてつくられたベア。 |
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36 セオドア
1907年 ドイツ製 シュタイフ 布
テディベア誕生には諸説あり、そのひとつが、米国第26代大統領セオドア・ルーズベルトのクマ狩りで小熊を撃たなかった故事に因んだものである。また一方、ドイツのシュタイフ社は、同時期にベア人形を開発して大当たりした。この「セオドア」はその時期の製品のひとつ。
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このほか約20点のドールやテディ、ドールハウスなどを展示いたします。 |
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(3)テクノロジーの誘惑―金属玩具の世界 |
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鉄道模型と同じく、金属玩具もまた、産業革命以降の工業機械の登場によって大量に流通するようになったおもちゃである。ブリキなどの金属板は、プレスすることでどんな形状にも加工でき、丈夫で、塗装もできる。このような優れた特性を活かし、とりわけドイツを中心として、完成度の高いおもちゃが制作され、その概観は現実を模倣するにとどまらず、限りなく現実に近づいていった。 |
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41 蒸気エンジン(農耕用)
1910年代 ドイツ製 ジョージ・カレット 金属
人類が初めて実用化したエンジンである蒸気エンジンは、産業革命以後、産業用・輸送用の動力源として長らく使用された。これは、当時農耕用として使用されていた蒸気エンジンの模型で、実際に蒸気の力で車輪を動かし前進することができた。 |
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55 音楽隊
1930年代 ドイツ製 シュコー ブリキ・布
シュコー社は、非常に多くの玩具を製作し、特にゼンマイ仕掛けの玩具では有名な会社。ゼンマイを巻くと、子ブタたちは太鼓を叩き、楽器を奏でる仕種をする。 |
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59 アルファロメオP2・レーシングカー
1925年 フランス製 CIJ 金属・ゴム
中抜きの車輪、革製のボンネット帯金、細かい網目のラジエターグリル、実際に開けることができる燃料口のキャップ、正確なボンネットの放熱孔など、非常によく制限されている。また、強力なゼンマイで動き、前輪は方向を変えることもでき、ヨーロッパの多くの子どもたちに人気があった。 |
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63 梯子消防車(格納庫付き)
1920年代 ドイツ製 ティップ ブリキ
格納庫の脇にあるレバーを下げると、扉が開く仕組みになっている。梯子車には4人の消防士が乗っており、ゼンマイを巻いて車庫にセットしておけば、ドアが開くと同時にすぐさま出動できるようになっている。
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このほか約20点のドールやテディ、ドールハウスなどを展示いたします。 |
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◇ 戦後のおもちゃの歩み 〜日本玩具コレクションを中心に〜
戦後の日本は、1961年(昭和36)には輸出総額で世界第1位に輝いたにも関わらず、当時はその歴史を記録する専門館もなく、発売から数年を経ずしてメーカーですら以前の製品を保存していない状況でした。そうしたなか、日本玩具資料館は、商品として流通したおもちゃを収集し、その質と量は、戦後玩具史にとどまらず、文化史・社会史的にも多様な価値を持つコレクションとなっています。
現在では、日本玩具資料館は閉館してしまいましたが、コレクションは株式会社バンダイに引き継がれ、栃木県壬生町の「おもちゃのまち バンダイミュージアム」でその一部を見ることができます。 |
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(1)戦後復興期の玩具 |
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昭和戦前期、日本のおもちゃ産業はドイツに次ぐ生産量を誇っていましたが、戦災により東京をはじめとする玩具生産地は灰燼に帰し、戦後ゼロからのスタートとなりました。おもちゃの輸出が再開した1947年(昭和22)から講和条約が発効した1952年までの輸出用玩具には、"Made in Occupied Japan(占領下の日本)"と刻まれていました。 "Made in Occupied Japan"からはじまった日本のおもちゃの戦後をご覧ください。 |
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69 ジープ NO.1(レプリカ)
1980年代 日本製 小菅 ブリキ
70 ジープ
1947年 日本製 増田屋 ブリキ
70 ジープ
1947年 日本製 メーカー不詳 ブリキ
進駐軍のジープのミニチュア。物資不足のなか、進駐軍が持ってきた缶詰めの空き缶を材料にして手作りで製作したもの。
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このほか10数点の戦後間もないころのおもちゃを展示します。 |
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(2)時代を彩ったおもちゃたち |
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高度成長のなか、日本のおもちゃ産業は戦前を凌ぐ活況を呈し、1961年(昭和36)には玩具輸出額世界第1位となり、「おもちゃ大国」となっていた。メーカーは技術とアイディアを競い合い、次々とヒット商品を生み出していった。おもちゃが流行を取り入れ、おもちゃが流行を作る。フラフープ、パンダブーム、スーパーカー・・・おもちゃをたどると日本の戦後史をたどっているかのようです。 |
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83 キャデラック
1953年 日本製 マルサン ブリキ・プラスチック
かつてなく大型で実車に近い自動車玩具を、当時憧れの的であったアメリカ車のなかでも最も人気の高かったキャデラックで実現した商品。当時の玩具の相場の3倍の価格で発売され、不朽の名品とも言われる。
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84 クライスラー インペリアル
1962年 日本製 アサヒ玩具
ブリキ・プラスチック・ゴム
フロントの凝ったデザインや、リアのユニークなテールランプなど、メーカーの技術をフルに活かして作られた製品。 |
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85 トヨタ2000GT パワービート
1972年 日本製 野村トーイ
ブリキ・プラスチック・ゴム
日本初の6気筒DOHCスポーツエンジンを搭載し、日本自動車界を代表するスポーツカーとして登場した。実車の販売価格が、同じトヨタの高級車クラウンの倍、大衆車のカローラの6倍と、大人も子どもも憧れた車だった。 |
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108 夢の超特急
1964年 日本製 ヨネザワ ブリキ・プラスチック
東海道新幹線開業の年に発売されたおもちゃ。デザインは新幹線の試作車両に類似した部分が多い。この年の東京オリンピックとともに、新幹線開業は日本人にとっても夢のような出来事で、数々の新幹線のおもちゃが発売され、ヒット商品となった。 |
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110 コンコルド
1968年 日本製 寺井商店
ブリキ・プラスチック・ゴム
世界初の超音速旅客機として話題を集めたコンコルドのおもちゃ。国内でも日本航空がオーダーしていたがキャンセルしてしまい、日本航空仕様の機体は幻となり、おもちゃだけに実現した。 |
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122 シャボン玉ゾウ
1958年 日本製 トミー
ブリキ・布・プラスチック
ボディはブリキに布を貼ったもの。バケツにシャボン玉の液を入れておくと、ゾウが首を上下に振りながら、鼻からシャボン玉を吹き出す仕掛けになっていた。当時、国内外で大ヒットしたおもちゃ。 |
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124 ジョッコー
1950年代 日本製 アルプス商事
ブリキ・プラスチック・布
当初は、輸出用で名前を「MUSICAL-CHIMP」としていたが、国内販売する際、ゼンマイ動力でシンバルを叩くアクションを見たメーカーの社長が「ジャッコー」と名付け、次第にジョッコーと呼ばれるようになったとされている。 |
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130 ソニックトレインロボット
131 ターゲットロボット
132 ノンストップラベンダーロボット
1962〜63年 日本製 増田屋
ブリキ・プラスチック
「5人のギャング」と呼ばれるロボットのうちの3体。現存数が少なく貴重な資料。 |
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168〜173 パンダのおもちゃ
1969〜75年 日本製
1972年(昭和47)の日中国交正常化を記念して中国から贈られた2頭のジャイアントパンダ「カンカン」と「ランラン」は空前のパンダブームをもたらした。高い人気のなか、様々なパンダ玩具が発売され、日本中で飛ぶように売れた。 |
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このほか野球盤、プラレール、レーシングカー、ルービックキューブ、電子ブロック、ゲームウォッチ、ファミコンなど、誰もが思い出のある約100点のおもちゃを展示します。 |
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(3)キャラクター玩具の興隆 |
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1953年(昭和28)のテレビ放映開始は、おもちゃの世界にも大きな影響をもたらしました。その最たるものは、キャラクター玩具の隆盛で、1963年に放映が始まった「鉄腕アトム」「鉄人28号」をはじめ、アニメや特撮ヒーロー、芸能スターたちの姿が続々と取り入れられ人気を博しました。こうしたキャラクター玩具は現代もなお高い人気を誇り、その対象も子どもから大人まで幅広い層へと拡大しています。こうしたおもちゃとメディアとのかかわりから、今後のおもちゃ像を展望してみてください。 |
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鉄腕アトム、鉄人28号、エイトマン、ゴジラ、ウルトラマン、ブースカ、仮面ライダー、ドラえもん、「超合金」、「ガンプラ」、リカちゃんなど、約50点のおもちゃを展示いたします。 |
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